Netflix_ホワイト・ホット アバクロンビー&フィッチの盛衰 White Hot: The Rise&Fall of Abercrombie & Fitch
https://www.youtube.com/watch?v=3yperp-SFYM
90年代後半から2000年代前半、魅力あふれるモデル、高鳴るダンスビート、刺激的な香りでショッピングモールを席巻したアバクロンビー&フィッチ。広く熱烈な支持を得るなか、排他的なブランド戦略と差別的な人材雇用の実態が明るみに出ると、アメリカの若者を象徴するブランドイメージが崩れていきます。
メモ代わりに内容全ネタばれ。
ネットでの買い物がメジャーになる直前、ショッピングモールが「ブラウジング」需要を満たしていた
そこに斬新なコンセプトで出てきたアバクロ。モールを梃子に大成功
古き良き白人アメリカ(の中でも、イケてる層)のイメージを強烈に打ち出す。店舗に匂いに従業員に音楽。お店をエクスペリエンスにする
ファッション業界は、顧客のニーズなど調査しない。ニーズを勝手に作り出すことで知られる
秘密主義でマイクロマネジメントのCEOマイク・ジェフリース、世界観構築に抜群の手腕を発揮
CEOの店舗視察、売上が悪くても起こられないが、見た目の悪い従業員を雇っていると怒られる。
アート・ディレクターのブルース・ウェーバーが、ゲイのイメージも活用しつつ美意識満載のビジュアルを展開
外見の良い、フラタニティの人気者を大量に採用。Pre-digital-influencer 戦略との言い方には笑った
しかし、アジア人蔑視Tシャツや従業員差別で訴えられる
秘密裡に和解して、形だけチーフダイバーシティオフィサーを雇う、モデル職の設置などをして取り繕いながら、更にCEOは暴走
多様性と言いながら、従業員だけを多様化して、経営幹部は昔から居る白人ばかり、お飾り?に有色のチーフ・ダイバーシティオフィサーを雇って(ちなみに、この方は突然スカウトされただけ)お茶をにごす。アメリカ的建前マネジメントの典型例を見せてくれていた
2006年にはブランドが排他的で何が悪いの?というインタビュー記事が出る。(が、この時点はあまり問題にならず)
ここは一つのポイントで、この時点ではWASP万歳的な発言を公でしてもそれがすぐに問題になることはなかった社会であったということ。ここからの10年くらいで流れが大きく変わったのだ
2013年、SNS時代が到来し、ポリコレの流れも強まる中で、ある方の訴えにより、上記の記事が大炎上
アバクロ・ブランドは地に墜ちる。CEOは引退。今は何処に・・・。
(所感)
SNS社会が到来しなければ、アバクロの凋落はもっと遅れていたと思われる。SNSが社会に与えた影響の大きさを感じる
ブランドの本質が「差異」の訴求だとするならば、そのこと自体が否定されるのだろうか。 D&Iが絶対的な正義なった今の社会に死角は無いのだろうか、などとかなり深い論点を感じ取ってしまったドキュメンタリーであった
昔、アバクロを買ってオシャレ気分になっていた日本のオジサン・オバサンは必視聴課題(ダサい物言いだが、アップデートできる)
ドキュメンタリーとしては観やすいがやや平板な作りではあった。あまりケレン味を優先させても困るので良いと言えば良いのだが。
2022/4/24